Temperament and Character Inventory (TCI) は Cloninger, Svrakic, & Przybeck (1993) によって作成された気質 (temperament) と性格 (character) を測定するための自己記入式質問紙です。ワシントン大学(セントルイス)の精神医学教室の Cloninger 教授が開発した気質と性格の7次元モデルに基づいて作成されています(図)。

気質は,主に遺伝で規定され,主として幼年期に顕れ,認知記憶や習慣形成の個性と考えられています。気質は生まれつき持っているその人の個性です。一方,性格は,自己概念について洞察学習することによって成人期に成熟し,自己のあるいは社会の有効性に関与するものとされています。性格は後天的に得て行くパーソナリティの成熟部分です。

Cloninger のパーソナリティ理論

気質とは
ヒトの気質は触発,抑制,維持,固着の4次元があるとされています。TCI においてはそれぞれ、新奇性追求 (Novelty Seeking),損害回避 (Harm Avoidance),報酬依存 (Reward Dependence),持続 (Persistence) の4尺度によって測定されます。これら気質のうち新奇性追求,損害回避,報酬依存はそれぞれ,中枢神経内のドーパミン,セロトニン,ノルエピネフリンの分泌と代謝に依存しているものであると想定されています。さらに,新奇性追求,損害回避,報酬依存の3次元の組み合わせによる8つのパーソナリティ傾向が想定されています。
性格とは
性格については,自己指向、協調、自己超越の3次元が想定されています。性格は人が自己をどのように同定するかを測定するものです。

自己志向 (Self-Directedness) は自身を自律的個人として見る程度を指します。各個人が選択した目的や価値観に従って,状況にあう行動を統制し,調査し,調節する能力のことです。多少の困難があっても、自身の長期的目標を念頭に置いて、なお現実に即して生活できる能力を含んだ概念です。
協調 (Cooperativeness) とは自身を人々の集合(友人、仲間、同僚、地域の人々、同国民等)の中の一員であると見ることのできる能力です。自分と異なっていても、他者を認め、その人を受容し、優しさを示すことができる能力であると規定されています。協調性のある個人は,寛容で,同情的で,協力的です。
自己超越 (Self-Transcendence) は自分自身を広い宇宙の一部であると見ることができる能力です。時間を越えた世界の本質的,必然的部分と自分が関連していることを考えられる能力です。100年後の人類のことを我がことのように考えたりできます。芸術家に多いパーソナリティです。

自己指向、協調、自己超越という3つの性格の次元の組み合わせによる8つのパーソナリティ傾向が想定されています。

私たちのグループは当初より TCI を日本に導入し、数多くの論文を発表してきました。

主たる業績一覧

それぞれ PDF を用意しております。

※ 各論文の PDF ファイルは年代ごとの論文一覧から入手できます。